顎変形症の治し方は?顎変形症の原因や種類、セルフチェック方法を解説
上顎や下顎のバランスが悪いことで起こる顎変形症は、放置すると健康や見た目にさまざまな影響をおよぼします。顎変形症の場合、治療にはどのような選択肢があるのでしょうか。
本記事では顎変形症の概要や原因、種類、放置するリスクや治療方法などを分かりやすく解説します。顎変形症のセルフチェック方法もご紹介するので、ご自身が顎変形症ではないかお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
顎変形症とは?
顎変形症は上顎と下顎の大きさや形、バランスの異常の総称です。
一口に顎変形症といっても、症状には個人差が大きいです。ただ、多くのケースでかみ合わせに問題が出たり、顔の輪郭が左右非対称になったりします。またそれによって発音や咀嚼、呼吸などの機能に影響が出てしまうことも多いです。
顎変形症の原因
実は顎変形症になってしまう明確な原因は分かっていません。ここでは考えられる原因を3つご紹介します。
遺伝
顎変形症になる主な原因と考えられているのが遺伝です。
一概にはいえませんが、両親や親族に顎変形症の方がいる場合、顎変形症になってしまう可能性が高いとされています。例えば、ヨーロッパの王族であるハプスブルク家は、代々顎変形症であったとされており、はっきりとは断言できないものの、遺伝的要因で顎変形症になった可能性が高いと考えられています。
口腔習慣
後天的に顎変形症になる原因とされているのが、口腔習慣です。
口呼吸や指しゃぶり、頬杖をつく癖や舌で歯を押す癖などがあると、徐々に顎の骨が変形してしまう可能性があるとされています。
事故や外傷
成長期の事故や外傷も、後天的に顎変形症になる原因の一つです。
顎が完全に成長する前に事故や外傷によって顔が大きな衝撃を受けると、顎の骨の成長に影響が出て、顎の形が変形してしまうことがあります。
顎変形症の種類
前述した通り、顎変形症といっても人によって症状は異なります。代表的な顎変形症の種類は以下の通りです。
上顎前突症 | 上顎が過度に発達し前に出ている状態。いわゆる出っ歯。 |
下顎前突症 | 下顎が過度に発達し前に出ている状態。いわゆる受け口。 |
開咬症 | かみ合わせが悪く、奥歯をかんでも前歯に隙間ができ、口が閉じづらい状態。 |
非対称症 | 正面から見た際に、顎が左右のどちらかに曲がっている状態。 |
上下顎前突症 | 上下の前歯が前方に突出している状態。いわゆる口ゴボ。 |
下顎後退症 | 上顎に対して下顎が後退している状態。 |
顎変形症のセルフチェック方法
顎や口元、輪郭にお悩みがある方の中には、「もしかしたら自分も顎変形症かもしれない」と気にしている方も多いかもしれません。顎変形症のセルフチェック方法をご紹介するので、ご自身の状態をチェックしてみましょう。
以下のいずれかに当てはまる場合、顎変形症の恐れがあります。
- 上顎か下顎、もしくは両方が大きい
- 上顎か下顎、もしくは両方が小さい
- 上顎か下顎、もしくは両方が前に突出している
- 上顎か下顎、もしくは両方が後ろに下がっている
- 正面から顔を見たときに輪郭が左右非対称
- 前歯でものをかめない
- 一部の歯並びが上下反対になっている(交叉咬合)
- かみ合わせたときに、上の歯が下の歯に深く覆い被さって下の前歯がほとんど見えない
- 両親や親族に歯並びやかみ合わせが悪い人がいる
上記はあくまで目安で、該当する項目があるからといって、必ずしも顎変形症とは限りません。正確な診断を受けるには、歯科クリニックなどで精密検査などが必要になるため、当てはまるものがあった方はまず相談してみてください。
顎変形症を放置するリスク
顎変形症を放置してしまうと、どのようなリスクがあるのでしょうか。顎変形症によって引き起こされる恐れのあるリスクを機能面・健康面・審美面に分けて解説します。
機能面
顎変形症を放置すると、咀嚼の問題が出る可能性が高いです。顎変形症の方は、かみ合わせに異常が出ることが多く、かんでも食べ物をうまくかみ砕けないことがあります。それによって、嚥下に問題が出ることもあるでしょう。
またかみ合わせは発音にも影響します。舌の動きに影響が出て滑舌が悪くなり、言葉を発してもスムーズに伝わらないことがあります。特に舌を使って発音するサ行やタ行の発音がうまくいかないケースが多いです。
健康面
顎変形症の方は、口を閉じてもしっかりと閉じられないケースが多いです。口がしっかり閉じないと口腔内が乾燥してしまい、虫歯や歯周病、風邪やインフルエンザといった感染症などのリスクが高くなってしまいます。
また顎変形症の方は、顎の関節の動きがスムーズにいかず、関節に痛みを感じることも多いです。顎に疲れを感じやすく、それが影響して体のさまざまな箇所に痛みや不調を感じてしまう恐れもあるでしょう。
審美面
顎変形症の方は、見た目のコンプレックスを抱えてしまう可能性も高いです。出っ歯や受け口、しゃくれ、口ゴボ、顔のゆがみといったお悩みが出やすく、精神的に後ろ向きになってしまう方もいるでしょう。メイクでカバーすることが難しいお悩みのため、強いストレスを感じてしまう方も多いです。
また顎変形症の方は、かみ合わせの悪さから口周りの筋肉が過度に働いたり、咀嚼回数が減って筋肉が衰えたりしてしまうこともあります。それによってシワやたるみが生じてしまう可能性も高いです。
顎変形症の治し方
顎変形症を治すには、どのような治療法があるのでしょうか。顎変形症の代表的な治療法を解説します。
歯列矯正治療
ワイヤー矯正やマウスピース矯正といった歯列矯正治療は、顎変形症を改善できる可能性がある治療法です。
歯並びが良くなるとかみ合わせが良くなるため、咀嚼機能の向上が期待できるでしょう。歯並びが美しくなると審美性が高まるので、見た目のコンプレックスも改善しやすいです。
ただし矯正治療で顎変形症が改善できるのは、症状が軽度の方のみです。また矯正治療はあくまで歯並びを整える治療のため、顎の骨にアプローチすることはできません。
外科的手術
顎変形症の症状が強く出ている場合、外科的手術が行われることが多いです。具体的には、主に以下のような外科的手術があります。
上顎骨切り術 | 上顎の骨を切って後方に移動させ、プレートを使って固定する手術。 |
下顎骨切り術 | 下顎の骨を切って後方に移動させ、プレートを使って固定する手術。 |
歯槽骨切り術 | 上下の4番目か5番目の歯を抜いてその箇所の歯茎の骨を切除し、切除した骨分、上顎や下顎を後退させてプレートで固定する手術。 |
オトガイ形成術 | 顎の骨を切除し、プレートで固定して顎の長さや位置を調整する手術。 |
顎変形症の場合、骨格に何らかの異常があるので、歯列矯正治療で治療するのは限界があります。上記のような外科的手術を行うことで、骨格の根本から改善を目指すことが可能です。
骨を移動させる範囲や位置を細かく調整することで、輪郭や横顔のラインも美しく整えられ、見た目のコンプレックスも解消されやすくなります。ほとんどのアプローチは口腔内から行うため、肌の表面に傷跡ができてしまう可能性も少ないです。
ただし外科的手術は骨格を改善する治療なので、単独ではかみ合わせが改善できない可能性もあります。そのため、歯列矯正治療と併用して行われるケースも少なくありません。
歯科矯正治療と外科的手術を併用する場合、歯列矯正を行う前に外科的手術を行うこともあれば、歯列矯正中に外科的手術を行うこともあります。後者の場合、外科的手術を行う前後に矯正治療が必要なので、治療期間が長くなりやすいです。
機能面・健康面・審美面のいずれも重視して行う必要があるため、形成外科医や矯正歯科医に加え、耳鼻咽喉科の医師や言語聴覚士など、さまざまな医療スタッフが連携を取り、治療方針が決定されます。
顎変形症は保険適用での治療も可能
顎変形症でかみ合わせや咀嚼、発音などの機能面での異常が認められ、外科的治療が必要と診断された場合、保険適用で治療が受けられます。
ただし保険適用での治療が可能なのは、歯列矯正中に外科的手術を行う場合のみです。前述した通り、歯列矯正中に行う場合、外科的手術の前後に矯正治療が必要になります。また治療は厚生労働省指定の顎口腔機能診断施設で受けなければならないので、注意が必要です。
歯列矯正治療にかかる費用も外科的手術にかかる費用も保険適用になりますが、矯正などに使用する装置は、ご自身では選べません。また術前に行う矯正治療によって、一時的にかみ合わせが悪化してしまう恐れがあります。
保険適用での治療はコストが抑えられますが、デメリットもあるため、しっかり検討することが大切です。
なお歯列矯正を行う前に外科的手術を行う場合、費用は全額負担となりますが、治療期間が短くなり、矯正に使用する器具も自由に選べます。
顎変形症にお悩みの方は中野デンタルクリニックにご相談ください
本記事では顎変形症の概要や原因、種類、セルフチェック方法、放置するリスクや治療方法を解説しました。顎変形症は顎の骨の大きさや形、バランスなどの異常の総称なので、一口に顎変形症といっても症状は人それぞれです。また症状レベルにも個人差があるため、一概にどの治療法が適しているとはいえません。セルフチェックを行って、顎変形症の疑いがある方は、まず歯科クリニックなどに相談してみましょう。
軽度の顎変形症であれば、大掛かりな外科的手術を行うことなく、かみ合わせや発音の問題や、見た目のコンプレックスなどを改善できる可能性があります。中野デンタルクリニックでは、LINEのお友達登録をしていただくことで、矯正治療の無料相談を受け付けていますので、まずはお気軽にご相談ください。