ガミースマイルは自力で治せる?トレーニング方法や治療方法を解説
笑うと必要以上に歯茎が見えるガミースマイルは、自分で治すことはできるのでしょうか。
実は軽度のガミースマイルの場合、日常的なトレーニングで改善されることがあります。また骨格や歯が原因の場合は、外科手術を含む手術で治すことが可能です。
本記事では、ガミースマイルを治すためのトレーニング方法や原因別の治療方法を詳しく紹介します。
※症状によっては外科的な処置より矯正治療を優先し、期間がかかる場合がございます。
Contents
ガミースマイルを自力で直すことはできる?
ガミースマイルとは、笑った際に歯茎が3mm以上出てしまう状態を指します。アジア人に特に多く、欧米人は骨格的に少ないといわれています。
ガミースマイルの原因は人によってさまざまで、多くの場合、改善するには原因に応じた治療が必要です。ただし、ぽかん口と呼ばれる口唇閉鎖不全症や柔軟性不足が影響している軽度のガミースマイルの場合は、後ほど紹介するセルフトレーニングで改善することもあります。
※症状によっては外科的な処置より矯正治療を優先し、期間がかかる場合がございます。
子どもの場合は生え変わりで治ることも
ガミースマイルの原因につながるものは遺伝的要素が強いとされていますが、指しゃぶりや舌の癖が影響している場合もあります。そのため子どもの時期に日常的な癖を止めさせると、ガミースマイルの予防につながるケースもあるでしょう。
なお永久歯への生え変わりの時期に、自然にガミースマイルが治ることもあります。必ずしも改善されるとは限りませんが、子どもにガミースマイルの兆候が見られる場合は、小児歯科を受診することをおすすめします。
笑うと歯茎が見えるガミースマイルの原因
ガミースマイルには上述のような日常生活での癖が影響しているケースと、遺伝が影響しているケースがあります。以下では、具体的な原因を大きく3つに分けて紹介します。
原因1.骨格や歯並び
ガミースマイルの主な原因の一つは、上顎の過剰な発達です。これにより、上顎が下顎より前に出てしまう状態(上顎前突)になります。その結果、歯茎が上唇に収まりきらず、笑ったときに見えてしまうのです。
上顎の過剰な発達は遺伝の影響が強いと思われがちですが、指しゃぶりや舌の癖も原因の一つとして考えられています。
原因2.上唇をはじめとした口周りの筋肉
ガミースマイルは、上唇挙筋と呼ばれる上唇周りの筋肉が原因の場合もあります。上唇挙筋の働きが強すぎると必要以上に上唇が持ち上がってしまい、ガミースマイルになることがあります。
原因3.歯茎や歯の大きさ
歯茎の過剰な発達もガミースマイルの原因の一つです。前歯に歯茎がかぶさることで、ガミースマイルとなります。
また歯の長さ自体が短い場合歯茎が見える幅が大きくなるため、ガミースマイルになります。
矮小歯(わいしょうし)と呼ばれる、歯が通常より小さい場合も同様です。矮小歯は、全体的に歯が小さい場合や一本だけが小さい場合など個人差があります。矮小歯の原因には、遺伝またはビタミンD欠乏症などが挙げられます。
※症状によっては外科的な処置より矯正治療を優先し、期間がかかる場合がございます。
ガミースマイルによって起こるデメリット
ガミースマイルには、口腔内のトラブルをはじめとしたさまざまなデメリットがあります。主なデメリットを3つご紹介します。
虫歯や歯周病のリスク
ガミースマイルは骨格的な原因や口元の筋力不足により、口が閉じづらいケースが多く、口呼吸の癖が付いてしまいがちです。口呼吸により口の中が乾燥しやすくなると唾液による自浄作用の働きが弱まり、口内を清潔に保つことが難しくなります。結果として、虫歯や歯周病のリスクが高まるでしょう。
また上顎前突(出っ歯)や歯列不正を伴うガミースマイルのケースでは、歯の間に食べかすがたまりやすいため、さらに虫歯や歯周病のリスクが上がります。
口臭
唾液の自浄作用が弱まると細菌が繁殖しやすくなり、口臭が発生します。歯周病菌が乾燥により活性化されてしまうことで、口臭がより強くなる場合もあります。
外見へのコンプレックスからコミュニケーションが苦手になる
ガミースマイルを気にして笑うことに抵抗を持ってしまい、口元を隠して笑う癖が付くケースや、人とのコミュニケーション自体が苦手になってしまうケースもあります。日常生活に支障を来すほどコンプレックスになってしまっている場合は、ガミースマイルの治療を受けることをおすすめします。
ガミースマイルを治すためのセルフトレーニング
ガミースマイルを自力で改善するためのトレーニングでは、主に口周りの筋肉を動かすことに焦点を当てます。このトレーニングの目的は、口周りの筋力を向上させると同時に、口呼吸の改善や舌の癖の矯正を行うことです。
あいうべ体操
あいうべ体操とは名前のとおり、あ・い・う・べと口を動かす体操です。口周りの口腔周囲筋を鍛えることで、口呼吸の改善にもつながります。
<あいうべ体操のやり方>
- 「あ」と大きく口を開く
- 「い」で口を横に思い切り広げる
- 「う」で、唇を尖らせて前に突き出す
- 「べ」で舌を顎先に向かって伸ばす
それぞれを1秒ずつキープして行い、10回を1セットとして1日3セット行うと効果的です。ただし、顎関節症など口を大きく開くことで顎に痛みを感じる方は、「い」「う」のみの工程でもトレーニングとしての効果が得られます。
割り箸トレーニング
割り箸トレーニングは、歯で割り箸をくわえた状態をキープすることで頬筋を集中的に鍛えるトレーニングです。
<割り箸トレーニングのやり方>
- 割り箸を歯でくわえる
- 鏡を見ながら、割り箸よりも口角が上にくる位置まで上げて10秒間キープ
- 表情を戻し、繰り返す
口角を上げる際に、口角よりも上の筋肉を意識するとより効果的です。割り箸トレーニングは頬のリフトアップにもつながります。
舌回しエクササイズ
舌回しエクササイズは、口輪筋と呼ばれる口周りの筋肉を鍛えるエクササイズです。口輪筋を鍛えることで口呼吸や、舌癖の改善につながります。
<舌回しエクササイズのやり方>
- 口を閉じ、唇周りの内側を舌でゆっくりと円を描くように回す
- 10秒ほど時間を掛けて一周する
原因別ガミースマイルの治療方法
セルフトレーニングでの改善が難しいガミースマイルの場合には、原因に応じた治療が必要です。以下では、原因別の治療方法を紹介します。
骨格や歯並びが原因の場合
骨格や歯並びが原因でガミースマイルになっている場合は、歯列矯正や上顎骨切り術(ルフォー)などの治療方法が有効です。
歯列矯正
歯並びやかみ合わせだけの問題でガミースマイルになっている場合には、矯正治療を行います。状態に応じてワイヤー矯正やマウスピース矯正など適した方法を選択し、前に突き出した歯を本来の位置に移動させます。矯正治療に加えて、インプラントアンカースクリューを使用する場合もあります。
上顎骨切り術(ルフォー)
歯列矯正だけでは改善されない骨格を原因としたガミースマイルの場合には、過剰に発達した上顎の骨を削り、後方へ移動させる外科手術を行います。
上唇をはじめとした口周りの筋肉が原因の場合
上唇をはじめとする口周りの筋肉に起因するガミースマイルに対しては、以下の治療方法が行われます。
上唇粘膜切除術
口元から見える歯茎の面積を抑えることが目的の場合は、上唇粘膜切除術を行います。これは、上唇の裏側から、上唇と歯茎の境目付近の粘膜を切除し、端をひっぱるようにつなぎ合わせる施術です。短時間で行うことができ、一度の施術で効果を感じることができます。
ボトックス注射
ボトックス注射は、過剰な上唇挙筋の動きを抑え、上唇が上に上がりすぎないようにする治療方法です。注射を打つだけなので手軽に受けられる傾向にありますが、効果は一時的なため、6カ月に一回ほどを目安とした定期的な治療が必要です。また妊娠中や授乳期は避ける必要があるなど、注意事項が多い施術です。
歯茎や歯の大きさが原因の場合
歯茎や歯の大きさが原因でガミースマイルになっている場合は、歯冠長延長術や歯肉整形といった治療方法が有効です。
歯槽骨整形
歯冠長延長術(歯槽骨整形)
歯冠長延長術は、過剰な発達により歯にかぶさった歯茎を切除する外科的な治療方法です。切除後は歯槽骨と呼ばれる歯を支える骨の高さや幅を整えることで、歯が大きく見えるようにします(歯槽骨整形)。前述した上唇粘膜切除術と併せて行うことで、歯茎が見える範囲をさらに狭めることも可能です。
歯肉整形
歯肉整形は、歯冠長延長術と同様に歯にかぶさった歯茎の切除のみを行う治療方法です。1日で終わる施術のため時間や費用が抑えられ、比較的手軽に受けられます。
ただし歯肉形成では、歯茎が後戻りすることがあります。セラミック矯正を併せて行えば、切除した歯茎の後戻りを防ぐことができ、きれいな歯並びも手に入れられるでしょう。
※症状によっては外科的な処置より矯正治療を優先し、期間がかかる場合がございます。
ガミースマイル治療に掛かる費用
ガミースマイル治療の費用は方法によって異なります。クリニックによっても差がある部分となりますが、中野デンタルクリニックの場合、大まかな治療費は以下のとおりです。
- 歯茎や骨が原因の治療 33万円(税込)
- 唇が原因の治療 22万円(税込)
- 歯茎や骨と唇が原因の治療 55万円(税込)
その他の費用として、検査費用に1万円(税抜)が掛かります。検査結果に基づき、医師が適切な治療方法や回数、費用などをご説明します。
ガミースマイル治療によるリスク
ガミースマイル治療は、手軽に1日で行える方法もあれば、外科手術を中心とした方法もあり、それぞれにリスクが伴います。特に上顎骨切り術は外科的なの施術となるため、約1カ月間のダウンタイムがあることも理解しておきましょう。また上唇粘膜切除術は、広範囲の切除により痛みや腫れが出やすく、こちらも約2週間前後のダウンタイムが想定されます。その他の症状として、一時的に顔の内出血・あざができることもあります。
施術によっては後戻りする可能性があることも理解した上で、カウンセリングでしっかりと状態を確認し、適切な方法を提案してくれるクリニックを選ぶことが大切です。
ガミースマイル治療診療風景
ガミースマイルの診察風景となります。シミュレーションに沿って、どのように治療していくか患者様にお伝えしていきます。
審美的な部分ではなく最終的なゴールとして嚙み合わせの部分も踏まえてご説明させていただきます。
ガミースマイルにお悩みの方は中野デンタルクリニックへご相談ください
ガミースマイルは、原因によってはセルフトレーニングで改善できる場合があります。ただしガミースマイルの原因につながる遺伝的要素や癖の程度によっては、外科手術を含む治療が必要です。
中野デンタルクリニックでは、矯正治療と外科手術の知見を活かし、CT検査や3D分析を行い患者様にあわせた治療をご提案いたします。「矯正治療しかできない」「外科手術しかできない」といった医師が多くおりますので、ガミースマイル治療の完治を目指すのであれば、ご注意ください。
また現在の歯茎の状況を撮影し、中野デンタルクリニックのLINEに送付いただくと、無料で診断結果をお送りします。「治療は気になるけれどクリニックに行く勇気が出ない」という方は、ぜひ一度お試しください。
※症状によっては外科的な処置より矯正治療を優先し、期間がかかる場合がございます。