ガミースマイルの原因は出っ歯のせい?矯正方法や違いを解説
笑顔を見せた際に歯茎が過剰に露出する状態をガミースマイルと呼びます。このガミースマイルのことを、多くの方が出っ歯が原因と考えがちですが、実際にはそれだけが要因ではありません。
そこで本記事では、出っ歯を含むガミースマイルのさまざまな原因、そしてそれぞれの矯正方法について詳しく解説します。悩みを抱えている方は、ぜひ参考にしてください。
Contents
ガミースマイルとは?
ガミースマイルとは、笑顔を見せた際に歯茎が過剰に露出する状態のことです。一般的に、笑ったときに歯茎の露出が3ミリ以上見える場合をガミースマイルと定義します。
この状態は見た目に影響を与え、人によっては自信を失う原因になることも少なくありません。さらに、ガミースマイルは口呼吸を促しがちで、その結果、口の中が乾燥しやすくなります。乾燥した口腔内は虫歯や歯周病のリスクを高め、さらには口臭の原因にもなります。
ただし、ガミースマイルは必ずしも治療が必要な状態ではありません。気になる場合は歯科医師や矯正歯科医に相談することで、適切な対策を見つけられる可能性があります。個々の状況に応じて、自信を持って笑顔を見せられるようになるアプローチを検討することが大切です。
ガミースマイルの原因
ガミースマイルの治療法は、その原因によって適切な方法が異なります。そのため、まずはガミースマイルの原因を正しく特定することが重要です。
以下では、ガミースマイルを引き起こす主な4つの原因について解説します。
骨格の問題
ガミースマイルの一因として挙げられるのが、上顎の過剰な発達です。上顎が縦に長く成長したり、前方に突出したりすると、歯茎が上唇に収まりきらなくなります。その結果、笑ったときに歯茎が露出しやすくなり、ガミースマイルになりやすくなります。
出っ歯(上顎前突)
出っ歯は、上顎の骨に問題がなくても起こることがあります。この場合、歯が前方に傾斜して生えているため、笑ったときに上唇がめくれやすくなります。これによって歯茎が見え過ぎてしまい、ガミースマイルとなるのです。
上唇の筋肉が過剰に発達
上唇の筋肉、特に上唇挙筋が過剰に発達すると、ガミースマイルの原因となることがあります。この筋肉は口角が上がるきれいな笑顔には必要ですが、発達し過ぎると笑ったときに唇が必要以上にめくれ上がってしまい、その結果、ガミースマイルとなってしまいます。
歯茎や歯の大きさ
歯茎や歯の特徴もガミースマイルの原因となることがあります。例えば、歯茎が過剰に発達して歯冠部分を覆っている場合や、歯の長さが短い場合、また一般的な大きさより小さい矮小歯(わいしょうし)がある場合などです。
さらに、歯の一部が顎の骨の中に埋まったままの埋伏歯がある人もガミースマイルに見えやすくなります。特に、歯が小さいと歯茎が相対的に長く見えるため、ガミースマイルの印象を与えやすくなります。
ガミースマイルの矯正方法
ガミースマイルの効果的な矯正には、原因に合わせた適切な方法を選択することが重要です。以下では、主な矯正方法を6つ紹介します。
上顎骨切り術
骨格に異常がある場合、特に上顎が過剰に長く成長している、または前方へ突出している場合には上顎骨切り術が有効です。この手術では、過剰に発達した上顎の骨を慎重に削り、後方に移動させて正常な位置やサイズに整えます。
上顎骨切り術は比較的大きな手術ですが、適切に行われれば見た目の大幅な改善が期待できます。なお、術後は顔の形状が変わることもあるため、慎重な検討が必要です。
歯列矯正
出っ歯を含めた歯並びが原因の場合には、歯列矯正が効果的です。この矯正方法では、ワイヤーやマウスピースなどの装置を用いて、前方へ突き出した歯を本来あるべき位置へ慎重に移動させていきます。
歯列矯正は時間がかかりますが、非外科的な方法で効果が得られるため、多くの患者さんに選択されています。
上唇粘膜切除術
この矯正方法は、上唇挙筋の過剰な発達によるガミースマイルに効果的です。上唇の裏側と歯茎の上側を慎重に切り取り、間の粘膜を丁寧に縫い合わせることで、上唇の上がる範囲を制限します。
手術は通常60分程度で終わり、一度手術を受ければガミースマイルを改善できますが、術後の適切な注意と管理が必要です。なお、この方法は即効性があり長期的な効果が期待できる一方で、手術を伴うため、事前に医師との十分な相談が重要です。
ボトックス注射(ボツリヌス療法)
同じく上唇の筋肉が発達してガミースマイルになっている場合は、ボトックス注射が有効です。ボトックス注射とは、ボツリヌス菌が作り出すボツリヌストキシンを有効成分とする薬を筋肉内に注射する療法で、ボツリヌス療法とも呼ばれます。
ボツリヌストキシンを注射して上唇挙筋の働きを抑えることで、笑ったときの歯茎の露出を減少させます。手術不要で即効性がありますが、効果は約6カ月間で、定期的な注射が必要です。
歯冠長延長術
歯茎の過剰発達がガミースマイルの原因になっている場合は、歯に覆いかぶさった歯茎を切除する歯冠長延長術が良いでしょう。歯茎の切除後、歯槽骨と呼ばれる歯を支える骨の高さや幅を丁寧に整え、歯が適度に大きく見えるようにして歯茎を目立ちにくくします。この手術は、審美的な効果だけでなく、歯周病予防にも役立つ場合があります。
歯肉形成
同じく歯茎や歯の大きさがガミースマイルの原因になっている場合、歯にかぶさった歯茎の切除を行う歯肉形成が有効です。これは歯にかぶさった歯茎の切除のみ行う治療なので、一日で治療が終わります。
同じく歯茎や歯の大きさがガミースマイルの原因になっている場合、歯にかぶさった歯茎の切除を行う歯肉形成が有効です。これは歯にかぶさった歯茎の切除のみ行う治療なので、通常1日で治療が終わります。
なお、この方法は歯冠長延長術と比べて侵襲性(患者の体や精神に与える負担や影響の度合い)が低く、回復も早いのが特徴です。ただし、歯茎の状態によっては複数回の処置が必要になる場合もあるため、事前の詳細な診断が重要です。
出っ歯が原因の場合は歯列矯正で改善できる
ガミースマイルが出っ歯によるものであれば、歯列矯正で改善できる可能性があります。主な矯正方法は、マウスピース矯正とワイヤー矯正です。軽度の出っ歯にはマウスピース矯正が、重度の場合はワイヤー矯正が適しているといわれています。
以下では、マウスピース矯正とワイヤー矯正のそれぞれのメリット・デメリットを解説します。
マウスピース矯正
マウスピース矯正は、透明な装置を使用する比較的新しい矯正方法です。
マウスピース矯正のメリット
マウスピース矯正のメリットは、まず装置が透明で目立ちにくく、矯正中でも自信を持てる点です。また従来のワイヤー矯正より痛みが少なく、新しいマウスピースへの交換時も数日で慣れるでしょう。そして、食事や歯磨き時に取り外せるため、日常生活への影響が少なく、衛生面でも優れています。
このように、見た目、快適さ、生活への適応、衛生面で優れた選択肢となっており、効果的に歯並びを改善しつつ生活の質を維持できる方法として支持されています。
マウスピース矯正のデメリット
マウスピース矯正は多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。
まず歯を大きく動かすことが困難で、極度の歯並びの悪さや顎の骨格問題には不向きです。そのような場合、他の矯正方法を検討する必要があります。次に、自己管理が極めて重要です。1日20時間以上の装着が必要で、これを守れないと治療計画が遅れる可能性があります(※)。また、飲食時には取り外す必要があり、水以外の飲み物を飲む際も同様です。頻繁な取り外しが日常生活に影響を与える可能性があります。
従って、マウスピース矯正を検討する際は、歯科医院でのカウンセリングが重要です。専門家の診断を受け、自身に合った矯正方法を選ぶことが効果的な治療につながります。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、歯に装着したブラケットとワイヤーを用いて歯を徐々に動かす矯正方法です。この方法には、表側矯正、裏側矯正、そしてこれらを組み合わせたハーフリンガル矯正があります。裏側矯正とハーフリンガル矯正は、表側矯正よりも費用が高くなる傾向があります。
ワイヤー矯正のメリット
ワイヤー矯正の主な利点は、適用できる症例が幅広いことです。さまざまな歯列や噛み合わせの問題に対応できるため、多くの患者さんに適しています。また、月一回の通院で細かな調整が可能なため、個々の状況に合わせた精密な治療が行えます。さらに、矯正器具を自分で取り外す必要がないため、自己管理の負担が少ないのも特徴です。
ワイヤー矯正のデメリット
一方で、ワイヤー矯正にはいくつかのデメリットもあります。顕著なのは、矯正器具が目立つことです。特に表側矯正の場合、審美面を気にする方には気がかりな点かもしれません。そして、治療開始時には痛みや違和感を覚えやすく、食事や歯磨きがやや困難になることもあります。また費用面では、ワイヤー矯正の種類や使用する素材によって大きく異なります。
目立ちにくいタイプのワイヤー矯正も開発されていますが、それぞれに特徴があるため、選択には慎重な検討が必要です。
ガミースマイルでお悩みの方は中野デンタルクリニックへご相談ください
ガミースマイルの治療は原因によって異なります。出っ歯の場合は歯列矯正で改善しますが、原因によっては外科手術が必要な場合があります。施術内容によっては後戻りする可能性もあるため、ガミースマイル治療の経験が豊富なクリニックに相談しましょう。
中野デンタルクリニックでは、矯正治療と外科手術の見地を生かした治療が可能です。ガミースマイルを治したい方は、ぜひご相談ください。